すでに恋は始まっていた
「お前、そんなことして覚悟はできてんだろうな?」


疾斗の目つきがいっそう厳しくなった。


「あ?」


(疾斗…?)


「3秒だけやるよ。その間に日菜を解放しろ」


「お前、状況わかってるか?俺の方が有利なんだ。解放するわけないだろ」


私を固定する手がさらに強くなった。


(ですよね…)


「そうか…なら仕方ない」


そう言って疾斗は右手を前に差し出した。


そしてその手を何かに合図するように、スッ…と上に上げた。

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