すでに恋は始まっていた
「ごめんな。言わなくて」


(違う…疾斗は謝る必要なんてない。私だって秘密にしてるんだから)


「ううん。ありがとう、話してくれて。あと、守ってくれて」


今の私にはこの言葉しか言えなかった。


(本当なら、私もここで打ち明けるべきなんだろうな…)


だけど…私の力は疾斗とは違う。


疾斗の力は誰かに何かするわけじゃない。


だけど私の力は…。


私は自分の力のことを話して、疾斗が離れていくのが怖かった。


(だって…一緒にいるといつも心が読まれてるなんて…嫌じゃない?)


例え疾斗の心が読めないとしても、それを話したところで信じてくれるかわからない。

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