すでに恋は始まっていた
コンコン…


(誰だろう?もう遅い時間なのに…)


襲われたことがあったからか、疾斗がやけに警戒してる。


それに比べて私は能天気なんだけどね。


ガチャ…


ドアを開けたのは樹君だった。


「あ!樹君!ごめんね、待たせて」


(忘れてたよ〜!)


そう、私がグラウンドに呼び出されてから樹君はずっと待っていてくれたみたいなの。


「いえ、大丈夫です。それより、お話っていうのは…」


「あ!そうだった。…ごめんね、せっかく待ってもらってたんだけど、もう学園が閉まる時間だから明日でもいいかな?」


学園の門が閉まるのは8時。


今日は体育祭だったから特別に時間が早くて、7時に閉まっちゃうの。


今の時間は6時50分だからもうそろそろ。


「はい!もちろんです!失礼しました」


そう言って樹君は会議室を出て行った。


「私達も帰ろっか!」


「ああ」

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