すでに恋は始まっていた
キーンコーンカーンコーン


授業始まりのチャイムが鳴った。


(忘れてた…)


樹君もしまったという顔をしている。


まるで言葉が顔に書いてあるみたい。


「チャイム鳴っちゃったね。クラスまで送るから行こ?」


「いや、そんなご迷惑をおかけするわけにはいきません!」


全力で手と顔を振った。


(なんだか小動物みたい…クスッ)


「私が先生に理由を説明してあげるから。そうしたら授業遅刻にならないかもしれないよ?」


「……じゃあ、お願いします」


私達は樹君の1組へ行った。


途中で他のクラスの前を通ったから、かなり注目された。


授業中の先生まで動きを止めて。

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