すでに恋は始まっていた
私は自分と疾斗・凛愛の分を注ぎ、圭介に場所を変わろうとした。


「あれ?あの2人のコップも持って来たの?」


そう、歌うのに必死で返事をしなかった2人の分まで持ってきていたの。


「うん。あの2人、すぐ喉乾くと思うから」


《あれだけ必死に歌ったらね…》


「でも、何が飲みたいかわからないよね?」


(適当に注ぐのかな?)


「いつも飲んでるやつなら、少なくとも嫌いな飲み物ではないでしょ?」


「…もしかして、いつも飲んでるやつ覚えてるの?」


「うん」


(す…すごい。普通、そんなの気にしないのに…。しかも樹君なんて最近知り合ったばかりなんだよ?)


「圭介…保育士に向いてるよ」


(1人ずつをしっかり見てくれそう…)


「え?そうかな?」


コップに全て注いで、部屋へ向かう。

< 257 / 363 >

この作品をシェア

pagetop