すでに恋は始まっていた
「もう一度言う。付き合ってくれ!」


一回断られたくらいじゃ全然諦めてないみたい。


だけど私だって妥協して付き合うような優しい女じゃない。


(何回言わせる気なの、こいつ)


「だから、私はまだあなたの事何も知らないし、あなたも私の事知らないでしょう?軽い気持ちで付き合うなんてしたくないの」


(知っても付き合うわけじゃないけど)


「じゃあ自己紹介する」


そういうところは素直みたいだけど…。


「いや、そういう問題じゃ…」


(目を見てるのに…やっぱり読めない)


付き合うとかそんなことよりも、心が読めないことの方に私の頭は回っていた。


私は付き合うなんて眼中にないのに、そんなこと知らないから淡々と自己紹介を始めだした。


「知ってると思うけど、俺は草凪 疾斗。レトワール1位の男だ!疾斗って呼んでくれ。お前は?」


「私は夢咲 日菜華…って!そうじゃなくて!」


(完全に相手のペースにはめられてる…)


泉に助けをもらおうと視線を送ってみると、なぜか携帯を触っていた。


じっと見ていても全く気づいてくれない。


(泉、携帯触ってないで助けてよ〜)

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