すでに恋は始まっていた
そう言った圭介がポケットから何かを取り出した。


見る限り…新聞?


「圭介、なんで新聞持ってきたんだ?」


光も同じことを思ったみたい。


構わずにその新聞を広げる。


「これだよ。この記事」


圭介の指差した記事をみんなで覗き込む。


『警察官2名 一般学生に拳銃奪われる』という記事。


「この事件の発生した地域はここより少し離れたところだけど、そこら辺の学校で警官から銃を奪えるほど喧嘩の強い学校はないんだ」


この言葉で全員が固まった。


みんな考えていることは同じ。


だってここは喧嘩最強高校。


そこら辺の警官を倒せる人なんていくらでもいる。


「つまり…この学園の生徒が奪った可能性が高い…」


《信じたくはないけど…》


時間が停止したように静かになった。


ここは風も吹かないし、誰も来ないからよりいっそう静かさを際立たせる。


(この学園の生徒が…まさか…)

< 271 / 363 >

この作品をシェア

pagetop