すでに恋は始まっていた

初恋の人

「日菜華さーん!」


廊下から私を呼ぶ声がして振り向くと樹君が来ていた。


「樹君⁉︎」


さっき泉に言われたせいで必要以上に動揺してしまう。


そんな私を見て不思議がっている樹君。


「少しお話があるんですけど…大丈夫ですか?」


樹君の視線は私じゃなくて、私の後ろにいる泉へ向けられた。


「あーいいよいいよ。行ってきな。ゆっくり2人きりの時間、楽しんでね」


「一言余計!」


私は泉に手を振って廊下にいる樹君のもとへ行った。


「どうしたの?」


樹君が呼び出すなんて珍しい。


というより、今まで1回もそんなことはなかった。


「少しお話が…裏庭でも大丈夫ですか?」


「うん、いいけど…」


(そんなに大事なことなのかな?)

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