すでに恋は始まっていた
「俺、ここの乗り物全部乗ること目指しててるんです!ジェットコースターとかは前に乗ったことがあるから、後はコーヒーカップとかメリーゴーランドだけで…」


「なるほどな〜。で?楽しかったのか?出てきたっていうことはもう乗ったんだろ?」


「はい、意外と楽しかったですよ!」


(樹君…嘘つくの上手…)


なんとなくそれらしい理由でうまくかわしている。


だけど、それだけじゃ騙されない方々もいるわけで…。


(うっ…これはバレてるな)


凛愛と圭介だけは私を疑いの目で見ていた。


詳しく追求しないでいてくれてるのは2人の優しさかな。


私は2人に笑いかけ、樹君の袖を引っ張って「行こう?」と合図を送った。


「それじゃあ俺たちそろそろ行くので!みなさんも楽しんでくださいね!」


「みんな、私達のこと監視とかしないでよね!」


それだけ言うと、私は樹君の腕を引いてダッシュで走っていった。

< 297 / 363 >

この作品をシェア

pagetop