すでに恋は始まっていた
結局、行きたくもないトイレに行って髪型を整えて帰ってきただけ。


戻ってみると、前の方に進んでいてあと5人。


このジェットコースターは1回で16人乗れるから、確実に次ので乗れる。


「はぁ…」


(私、小さい時にジェットコースターに挑戦したけど泣いちゃったんだよね…)


「お待たせ…」


「あ、やっと来た。次だからね!」


「うん…」


(目をつぶってれば怖くないかな?…いや、逆に怖いかも…)


「次の方どうぞ〜」


係りの人に呼ばれて席へと向かう私達。


前に5人いたから、幸いにも真ん中の辺りですんだ。


泣いた時のことを思い出して不安になってくる。


(大丈夫だよね…。だって、あれは小さい時の話だもん…)


心配している私をよそに、樹君はワクワクした表情。


(人の気持ちも知らないで…)

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