すでに恋は始まっていた
「昔会った時の樹君は…そんなことする人じゃなかった…」


「昔?ああ〜、そう言えばそんな話あったな。あれは嘘だよ」


「嘘…?」


「昔会ったやつが都合よく現れるわけないだろ」


私は絶望の底へ落とされた。


そんな…。


信じていたのに…。


ずっと探して、やっと見つけて…なのに…。


私の頬を涙が流れる。


私の中の何もかもがなくなっていく。


夢でカーネーション君が言っていた言葉。


『早く僕を見つけて』


(ごめんね、見つけられなくて。私、ずっと騙されてて…)


カーネーション君は私の幸せを願ってくれたのに、私はあなたの為に何もできなかった。


(もう…探す気力すらないよ。ごめんね)

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