すでに恋は始まっていた
「日菜、俺の能力でツタを出してみんなを移動させる。あいつらがそれで気をとられている間に、拳銃を奪えるか?」


「うん、やってみる」


もともと私だって、喧嘩が弱いわけじゃない。


心を読む能力でバックアップしてる部分はあるけど、拳銃の弾を避けるくらいならできる。


「やるぞ!」


疾斗がそう言った瞬間、捉えられているみんなの足元からツタが出てきた。


その間に私はダッシュ。


まずは霧谷の拳銃から奪った。


だけど…。


(どうして?)


霧谷は全く焦っていない。


それどころか、ニヤニヤして樹君を見ている。


《人質がいなくなることくらい予定通り。あとは樹、頼んだぞ》


言葉の意味が気になって樹君の方を見ると、樹君は疾斗に拳銃の先を向けていた。


(疾斗!)


疾斗はみんなを避難させるのに夢中で拳銃に気づいていない。


私は疾斗の方へとダッシュした…。

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