すでに恋は始まっていた
バン!


それは、一瞬の出来事でした。


疾斗に向けて放たれた弾丸は私の右胸を直撃しました。


同時にお守りにしていたネックレスのチェーンが切れて弾け飛び、倒れた私の首元へ落ちました。


裏庭に咲く綺麗な白い花が私の血で赤く染まっていくのを見て、打たれたことを実感しました。


「痛い」という思いが感情の大部分を占める中、「嬉しい」という思いもありました。


私の能力が初めて人の役に立った瞬間。


ずっといらないと思っていた能力が疾斗を守ることに繋がった瞬間。


意識が遠くなる中、最後に聞こえたのは焦った疾斗の声。


最後に感じたのはとっても冷たい風。


なぜ疾斗を助けたのか…。


仲間だから?


それだけではありませんでした。


その時の私にとって、疾斗は仲間以上の存在になっていました。


本当は気づいていた。


だけど、気づきたくない自分もいた。


私は…恋に落ちていたのです。

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