すでに恋は始まっていた

想いは伝わる

「ん…」


目を開けると、さっきまでの真っ暗な世界はない。


視界に映るのは真っ白な天井だけ。


「日菜⁉︎起きたのか⁉︎」


大好きな人の声が聞こえ、暖かい風に吹かれて目が覚める。


(この声は…)


「疾斗…」


ゆっくりと体を起こし、疾斗の方を見る。


(私…帰ってこれたんだ!)


嬉しくなって疾斗に抱きついた。


「疾斗!疾斗〜…ぅ…会いたかったぁ」


次から次へと涙が出てくる。


(夢の中でも現実でも泣くなんて…私、泣きすぎでしょ)


私の急な行動にびっくりした疾斗だったけど、優しく抱きしめ返してくれた。

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