すでに恋は始まっていた
「ううん、その時じゃないの」


そう言ってバックを漁り、青いカーネーションが入った箱を取り出す。


(覚えていてくれますように…)


疾斗の目の前へ行き、蓋を開け、カーネーションを疾斗に見せた。


私が何度も救われた花。


この世で1番大切な花。


大好きな人から、初めてもらったプレゼント。


「これ、覚えてる?…疾斗にもらったカーネーション。私…これをもらった時、疾斗に助けてもらったんだけど…」


そこまで言って、疾斗も何かに気がついたみたい。


ハッとした顔をして、ポケットからうさぎのキーホルダーを取り出した。

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