すでに恋は始まっていた
「私が笑わないのは誰のせいだと思ってるの?あんた達のせいだよ。それを何?今更いい子ぶっても無駄よ」


私はイライラを全部乙川にぶつけた。


乙川が泣きそうになる。


「日菜、言い過ぎよ」


後ろから声がした。


「泉…」


「乙川さん、ハブられるの覚悟で話しかけて来てるんだよ?」


泉の言葉で気がついた。


(そっか…私に話しかけたら…乙川は…)


「ねぇ、なんで乙川は私に話しかけようと思ったわけ?」


「だって…私、夢咲さんの笑顔が好きだから。前みたいに笑顔になって欲しくて…」


《夢咲さんの笑顔はホントに綺麗で、こっちまで元気もらってたから…》


(こいつ…本気で…)


こんなに心が綺麗な人は見たことがない。


私は乙川にいらついていた自分がバカらしくなった。

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