すでに恋は始まっていた

友情の代償

「よし!友達になったんだし、良いこと教えてあげる!」


「え!やった。何?」


すぐに顔を輝かせる。


私は葉月の耳元で口に手を当てた。


「大きな声じゃ言えないから、小さい声でね。実は…私がもう1人のレトワール1位なの!」


葉月の反応を見るために耳元から顔を離して正面から葉月を見る。


「………え?」


《…………》


心が読めるって教えた時よりも固まっている。


(頭真っ白になってる!何も考えてなくて心読めない人なんて初めてだ!)


思考が停止している葉月に「今度は私の番!」と言わんばかりに、泉が私と同じ行動をとった。


「私は、ここの理事長の娘だよ!」


「………はい?」

< 62 / 363 >

この作品をシェア

pagetop