すでに恋は始まっていた
私達が浮かれておしゃべりしていると…。


「新入生のみなさんは各クラスに移動して、担任の指示に従ってください」


どこからか職員の声がする。


見渡すと、クラス発表の掲示板の前でメガホンを持った人がいた。


「行こっか！」


歩き出そうとしたその瞬間…。


「「「「「きゃー！」」」」」


後ろの方ですごい大きな声が聞こえた。


「「なに⁉︎」」


同時に声のした方を見る。


そこにはざっと100人くらいの女子が集まっていて、何があったのか全くわからない。


気になって私達もその場所へ行ってみる。


何があるのか見るには中心の方へ行かなくちゃいけない。


はぐれないように泉と手を繋いでなんとか中心部近くまでたどり着けた。


（人の海ってこういうことか…）


大勢の女子の中で中心にいたのは1人の男子。


「疾斗様よ〜！」


「春休みの間に、レトワール1位だった3年生を倒して1位になったんだって〜！」


女子に騒がれている男子は疾斗って言うみたいで、とっても楽しそうに笑っている。

< 7 / 363 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop