すでに恋は始まっていた
私は疾斗を誰もいない裏庭へつれて来た。


ここはレトワール・理事長・校長・教頭しか知らない場所。


泉も知ってるかもね。


こんな場所に連れてきたら疑われるけど、そのことに来てから気付いちゃったからもう遅い。


「日菜、よくここのことを知ってたな」


「うん、ここのレトワールだった卒業生から聞いたことがあるの」


苦し紛れの嘘。


だって、いくら卒業生でも元レトワールじゃないと知らないんだもん。


「それで?話ってなんだ?」


急に真剣な顔になる。


疾斗の性格が「細かいことは気にしない!」っていうタイプでよかった。


「えっと…ごめんなさい!」


私は勢いよく頭を下げた。

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