すでに恋は始まっていた
「…そろそろ帰ろっか。もう7時だし」


泉に言われて時計を見ると、本当に7時を指していた。


(本当にずいぶん寝ていたんだね…)


「ホントだ!そろそろ部活動生も帰る頃だよね」


私達は全員部活に入部していない。


ステラ学園が中学から大学までエレベーター式になっているから、部活に入っていなくても進学にひびくことはない。


私と泉は高校から入学したけどね。


荷物を持って、保健室を出ようとした時…。


バン!


ドアを強く開けて入ってきたのは疾斗だった。


「日菜!…ハァ…ハァ。大丈夫か⁉︎」


かなり息切れをしている。


レトワール1位だし、体力なら無敵のはず。


多分必死に走って来てくれたんだろうな…。


「疾斗⁉︎なんでここに…」


「部活終わって急いで来た。それより日菜、倒れたって…」


「うん…でももう大丈夫!2人がいたから」


「そうか。良かった…」


前までは敵対心むきだしだった泉がおとなしい。


(心配して来てくれたことで見直したのかな?)

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