思いは記念日にのせて

「アメリー、ハルって言った?」
「違う、『アル』って言ったノ。ワタシの日本語の発音、まだまだネ」
「アル?」

 聞き返すとアメリーが腕組をして満足そうにうなずく。
 なんだか勝ち誇ったように見えるのは気のせいなのかな。 

「ワタシの恋人、アルフォンス。で、アルなんだけど悠真にちょーっとだけ似てるノ」
「背格好がな」
「そう、たまーに間違えるのネ」

 人差し指と親指をくっつけそうなくらい近づけてウインクをするアメリー。
 本当にかわいいというか美人で、とっても目を引く。

 アメリーの恋人の『アル』ことアルフォンスは現在アメリカ在住。
 近々日本に来るらしくアメリーと同様、悠真のビジネスパートナーだと言う。
 一体何のビジネスをしているのかさっぱりなんだけど。

 そういえば初めて会った時もアメリーが悠真のことを『ハル』って言っているように聞こえたんだよね。
 そういう理由だったのか、と今更ながら納得した。
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