思いは記念日にのせて
6.不協和音

第二十五話

 
 そして決戦のハグの日。

 気合い入りまくったわたしは前日から全身くまなくチェックをして、おニューの下着を身につけた。
 もちろん汗をかくことも想定しておニューの下着をもうワンセット用意したし、期待しているのがバレないよう少し大きめのトートバッグに忍ばせてデートに挑んだ。
 お泊まりの話なんて出てなかったから「あれ、今日荷物多くない?」なんて言われたらどうしようかと思ったけどその辺は大丈夫だったみたい。

 ひさしぶりのふたりきりのデート。
 車で少し離れた郊外のアウトレットへ行こうと、今週の水曜に海外事業部の休憩室で誘われた。
 ちょっと話せる程度のテーブルとパイプ椅子が置かれた席と自動販売機がパーテーションで仕切られただけの部屋。誰かに聞かれていないかドキドキしつつ了承する。
 その日のだいたいの流れを説明したところで貴文さんの携帯が鳴って呼び出しがかかった。タイミングがいい。
 
 特にほしいものはないんだけど、ドライブしつつウィンドーショッピングを楽しむことになっている。
 車で片道二時間程度の距離だから夜には帰ってくる予定。
 お昼はハンバーガー系で軽めにすませて夜はがっちり食べるつもりだったけど満腹で運転は眠くなるから地元に帰ってきてから夕食を食べることにして少し早めにアウトレットを出た。

 結局買ったのは貴文さんのウォーキング用のシューズとジャージ。
 最近運動不足だから朝歩くようにしたいんだって。偉いな。
 一緒にどうって聞かれたけど、朝は一分でも長く寝ていたい方だって言ったら大笑いされちゃった。
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