思いは記念日にのせて
第二十六話
悠真の家に戻った途端開けられたチューハイを渡され、受け取るしかなかった。
一本だけだよと前もって念を押したけどすでに飲み始めていた悠真は適当に「はいはい」とだけ返してくる。
本当にわかってるのかしら。
貴文さんが大事な時に飲んだりしていいのか本当は申し訳ない気がした。
だけどわたしも気が気じゃなくてずっと考え込んでいるよりは少しくらい飲んだ方がいいのかもしれないと躊躇いながらもゆっくりと口をつけ始めた。
地元につくまで車で二時間くらいかかると言っていた。
貴文さんと別れてすでに一時間は過ぎているからまだ時間はかかるだろう。
悠真は飲みながらわたしと貴文さんの馴れ初めを聞いてきた。
聞かれて答えるバカいますかと最初は流していたけど、あまりのしつこさに根負けしたわたしはゆっくりと出会いからの経緯を話していた。
それを真剣な顔で聞きながら悠真がビールを呷る。
途中、特に茶々を入れられることなくすべてを話し終えると、鼻から静かに長い息を吐き出した悠真が大きく腕を組んだ。
「そっかーあーあ」