思いは記念日にのせて
「どうした? 熱でもあるの?」
「え、なにが?」
「いつもより顔が赤い」
いつの間にか縮められていた距離にドキッとする暇もなく悠真がわたしの額に手を触れさせていた。
その指先が妙にひんやりしているように感じた。もしかして本当に熱あるのかもしれない。
そう思った矢先、悠真が目を眇めて首を傾げた。
「……なさそうだな」
「あっ、あるわけないじゃん!」
「ふーん? じゃ続けちゃって平気?」
コクコクとロボットのような動きでうなずくと、くすっと悠真に笑われた。
……なに、その優しい笑顔。
幼い頃のふっくらした丸い顔は今じゃすっかりシャープになってしまっているけど、少しだけ垂れ目なとことかわずかに浮き出るえくぼは変わりない。そんなとこ変わりようがないのかもしれないけど。
やだ、なんでこんなどきどきするんだろう。
がばっと身体を起こして、雑誌でパタパタと顔を仰ぐ。
なんだかすごく顔が熱い。
でも熱はないっていってたからこの熱さはなんなんだろうか。