思いは記念日にのせて
悠真の幼い頃の笑顔、そして大きくなってからの笑顔。
なぜか今、思い浮かぶのは悠真の笑顔だけだった。
わたし、全然気づいていなかった。
いつの間にかわたしの心の中に悠真の姿があったことを。
悠真がいてくれたから貴文さんとしばらく離れていても寂しさを紛らわせることができていたんだ。
悠真はわたしが寂しくないように、ひとりにならないように何も言わずにそばにいてくれたんだ。
「ゆ……ま」
気づいたらわたしは涙を流していた。
悠真に会いたい、会ってちゃんと話がしたい。
だけどあなたはここにいない。
――千晴は千晴の思うようにすればいい
悠真の言葉を思い出したら胸が痛くなった。