思いは記念日にのせて
悠真と連絡が取れたら声をかけてくれると約束して柘植家から帰って来た。
もらった絵をどこに飾ろうか。
いつでも見れる場所に置きたい。一番いるのはベランダよりのソファだからその向かいにあるキャビネットにそっと立てかけた。明日額縁を買ってこなきゃ。
そして、貴文さんにちゃんと話をしよう。
鞄の中に入れっぱなしになっていた携帯を引っ張り出すと、着信履歴が残っていた。
貴文さんから三回、悠真の家に行っていた時かかっていたようで、最後にかかってきていたのが十分ほど前。
メールですませられないような急用があったのかもしれない。
すぐに通話のボタンを押していた。
『――千晴?』
すぐに通話に切り替わり、切羽詰まったような貴文さんの声がわたしの名前を呼んだ。
「はい、電話いただいていたみたいで」
『ごめん、時間があまりなくて手短に話す』
電話の向こうから袋をがさがさするような音が聞こえてくる。