思いは記念日にのせて
12.遠距離恋愛、する?

第四十四話


 十二月二十二日。
 年の終わりでみんな忙しく忘年会をしようかと話していたけどなかなか本決まりにならない。
 今年のクリスマスはどうするかな。
 両親は帰ってこないと言っていたし、むしろこっちに来なさいよなんて言われたのをなんとか宥めて断ったのはつい先日のこと。

 うちの両親は北海道にいるんだけど、行くなら飛行機になるじゃない。
 わたし、高所恐怖症だから飛行機乗れないんだよね。
 たぶん乗ってしまえば大丈夫なんだろうけど、あんな大きい塊が空を飛ぶと思うと背筋がぞおーっとしてしまって「無理無理!」ってなるのだ。
 だからわたしは一度も本土から離れたことがない。
 あ、湖のスワンボートとかちょっとした遊覧船くらいは乗ったことあるんだけどそれじゃ本土を離れたとは言えないよね。

 北海道はおいしいものがたくさんあるから一度は来なさいって両親から何度も誘われているんだけど、どうも一歩踏み出せない。
 もし貴文さんとアメリカへ行くことを選んでいたらどうなっていたか……もちろん睡眠薬を使ってフライト中寝てしまうとかいろいろ考えたけど。
 もちろん行くことになってたら覚悟を決めてたはずだけどね。
 だけど行かなくてほっとしている時点でやっぱりわたしに飛行機は難易度高かったし、縁がなかったのかもしれないな。
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