思いは記念日にのせて

 結局クリスマスも年明けもひとりで過ごした。
 両親が転勤になってからは毎年のことだからなれてるもん。寂しくないもん……と少しだけ強がってみせる。
 だって『寂しい』って口にしたらもっと寂しくなるもん。

 ただ例年と違うことは、悠真のお母さんがおせちを持ってきてくれたこと。
 ほんの少しよと小さなお重で持ってきてくれたのがうれしかったな。
 悠真のお母さんもひとりだからおせちなんて作らないし、いつも通り出来合いのものでって思っていたらしい。
 今年は悠真が帰ってきてくれると思っていたのに、直前で帰れなくなったと連絡が来たらしい。まったく親不孝な息子だよね。

 そしてわたしにも全く連絡をくれない。

 悠真のお母さんはわたしが連絡取りたがっていることを再三悠真に伝えてくれているし、待っているしかできないんだけど、正直スルー決められちゃってるのは少ししんどい。

 でもこんなことで心折れたりしない。しないんだから。
< 183 / 213 >

この作品をシェア

pagetop