思いは記念日にのせて
開き直ってみせるけど、悠真はのらりくらりと答えをかわす。
ここは更なる直球で行くしかない。
唾をごくっと飲み干して、大きく深呼吸をひとつ。
「あの時、答えられなかったけどわたしは信じてるよ。悠真からもらった絵を見ていろんなこと考えてた。悠真があの絵からわたしに何かを伝えたいんだって思った。違う?」
『絵からメッセージ性を見いだしてくれるのはありがたいね。だけどそれは受け取る側の感情だから、贈り手のものと一致しているとは限らないけど』
……なんだか今日の悠真は意地悪だ。
「怒ってるの?」
『なにが?』
「わたしがあの時ちゃんと答えなかったから……悠真が仲間外れにされてるの見て見ぬ振りして――」
『そんな昔のこと……っていうか千晴はずいぶん昔にこだわっているよね。なにをそんなに気にしているの?』
「っ!」
言葉に詰まる。
あの時のことを思い出すと古傷が疼くように胸が痛いんだ。
「気にしていないわけないじゃない! 忘れられるわけないじゃない! もっと怒って責めればいいのに……わたしが悪いって」
『――なんで?』
ぷっ、と悠真が噴き出す。
『はるちゃんはなんにも悪くないよ』
悠真が昔の呼び方をするから、まるであの時の悠真が出てきてわたしを許してくれたように思えた。