思いは記念日にのせて

「ハルの名前の由来、千晴は知ってるノ?」
「……おばさんに聞いた」
「ふふっ、ワタシも悠真と会ったばかりの時に聞いてびっくりしたわヨ。フィアンセの名前だなんて言うカラ」
「はあっ? それいつのことっ?」

 フィアンセってどういうことだ。
 思い切り聞き返すと、アメリーがうーんとうなる。

「四年前、くらいかナ?」
「ちょ!」

 わたしはいつから悠真のフィアンセになっていたんだ。会ったら問いつめてやる!
 でも、入れ違いに日本って……なんのために頑張ってここまできたのかわからないじゃない。
 携帯の電源を入れると、悠真のお母さんから伝言が入っていた。
 悠真が日本へ向かっていること、飛行機に乗らないでとあわてた口調で……もう乗って離陸した直後だったみたい。

「とにかく行くヨ。千晴」
「え、どこへ?」
「日本」
「っ、ええええええ!」

 たった今、到着した異国の地からすぐにとんぼ返りする羽目になるとは思ってもみなかった。
 
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