思いは記念日にのせて
第四十九話
うちに入るなりリビングのソファに誘導され、座った途端力がどっと抜けた。
はーやっぱりうちはいいなあ。
背もたれに寄りかかって目を閉じるとそのまま眠りに吸い込まれそうになる。飛行機の中でも眠っていたのにまだ眠れるんだ。
「今風呂わかしてるからゆっくり浸かりなよ。あがったら足マッサージしてやるから」
「本当に? マッサージなんかできるの?」
「親父に鍛えられた」
マッサージに行きたいと思っていたから助かる。
どのくらいの腕前かはわからないけど、やってもらえるに越したことはない。あんまり痛いようだったらやめてもらえばいいだけだし。
「んぁっ! はっ、あっ! ゆ、ま……っ! だめっ、そこっ……よすぎっ!」
「んー? ここか」
「あっ、はあっ!」
悠真の親指がうつ伏せになったわたしの腰のイイトコロをぐりぐりと指圧する。
ツボにドンピシャなのかビリビリするくらい気持ちがいいっ、力加減も絶妙すぎるっ。
「あーっ! そこそこぉ!」
「ここ、すげえ凝ってるな」
「うぁっ、うますぎ……っ、るぅっ!」
「それ、別の意味で言ってほしいかも……」
「えっ、なにっ?」
自分のよがり声で悠真がなにを言ってるのほとんど聞き取れなかった。
腰をこれでもかと揉みほぐされ、その後は肩周囲と首の裏、そして頭も両手で包むようにマッサージされる。
胸の下にクッションを入れて首を前屈させていたんだけど、涎が垂れてしまうんじゃないかっていうくらい気持ちいい。
それが終わったら両足のマッサージがはじまって、全身リラックスさせられたわたしは――