思いは記念日にのせて
「中、見てもいい?」
「それはあとで」
「あとでって、……わっ!」
ベッド上で正座状態でいたわたしは思い切り後ろへ押し倒され、手から画集が滑り落ちた。
わたしの身体に乗り上げた悠真はにんまりと笑みを貼り付けてわたしの頬を指先でなぞる。それがくすぐったくて背筋がぞくっとした。
目を細めた悠真の赤い舌がちろっと自分の上唇を舐めあげ、小さな笑い声をこぼす。
「今日僕の誕生日なんだよね」
「えっ? うそっ」
「この期に及んで嘘ついてもしょうがないでしょ。だからプレゼントもらうね?」
もらうって、なにも用意してないのに?
と言うが早いか、悠真がわたしのパジャマのボタンをはずし始めた。
「えっ、ちょっ」
「なに?」
にいっと悠真の口角が限界まで持ち上がった。
いや、うん……この展開がわからないほど子供でもない。
だけどまだ心の準備ができていない、ってわけでもないんだけど……どうしたらいいんだろうか。
気がついたらあっという間にパジャマの前は全部はずされていて、わたしの胸元ははだけさせられている。もちろんブラはしていたけど新しいものでもなく機能性重視の飾りっけのないベージュ。
ああ、こんなことになるならもっといい下着をつけておけばよかった。なんでよりにもよってこんなの。