思いは記念日にのせて
悠真の熱っぽい視線に促されるように大きくうなずくと、その広い胸にきつく抱き寄せられた。
首筋に、鎖骨に、胸元に落とされる悠真の柔らかい唇の感触。
わたしの身体のラインをなぞりながら優しく滑り落ちる繊細な指先がそこに火を灯をともすように淡い熱を生み出していくようだった。
「悠、真」
「ん?」
「わたし……あの、初めてだからっ」
「わかってる」
悠真によってもたらされる甘い痺れが全身を支配する。
でもこれがすべてじゃないってこともわかっている。
少しずつ迫り来るその時を想像すると怖い。だけど、悠真にされるならいい。
何度もわたしの頬や頭を撫でる悠真の手が『大丈夫だ』と繰り返してくれているから。
「お誕生日、おめでとう。悠真」
どうしても伝えたかった言葉を譫言のようにつぶやくと、小さな声で「愛してる」と囁かれたような気がしたんだ。