思いは記念日にのせて
エピローグ
教会の鐘が大きく鳴り響く。
生憎の曇り空だけど、今日は美花さんと茅野くんの結婚式。
ワンショルダーの胸元のばっちりあいたウエディングドレスに身を包んだ美花さんはいつも以上に美しくて間違いなくどの新婦さんよりも素敵。
その隣に立つ茅野くんも美花さんにふさわしくありたいと入社式にも茶色く染めていた髪を真っ黒に戻してチャラいイメージが払拭されていた。
「ブーケ投げるよ!」
きゃーっという歓声があがり、後ろ向きの美花さんがぽーんと白いブーケを放り投げるとふんわりと空を舞い、こっちに向かって落ちてきた。
――千晴めがけて投げるから
控え室で見た時あまりの美しさに驚きと喜びで涙が出そうになったわたしに美花さんは最高の笑顔でそう言ってくれた。
後ろ向きで投げるんだからそんなにうまくいくわけがないのに。
「いっけえ! 千晴!」
茅野くんが大声で叫ぶ。
絶対に取れと背中を押されたみたいで思い切り手を伸ばしていた。