思いは記念日にのせて
第十一話
その後片山課長にいろいろな説明を聞いた。
広報部は係分けはなく、第一課と第二課のみ。そのため係長というポストはなくて主任がいる。
他の部署とはひと味違うとどや顔で言われた。
第一課は社外広報担当で社員五名。第二課は社内広報担当でわたしを含めて五名、部としては部長を含め十一人という小規模でちなみに社最小の部署らしい。
第二課のわずか五名で社内報を作っている、これは大変名誉なことだと片山課長は鼻の穴を大きくして豪語した。
確かにそうかもしれないけど――
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「千晴、なんだか疲れてない?」
十六時からの研修を終え、メンバー四人で飲みに来た。
研修には霜田さんも参加したけど、その後は部署に戻られて飲み会は不参加。
メインの研修は終わったことだし今後霜田さんがこのメンバーでの飲み会に参加する機会はぐっと減るだろう。
それだけでももの悲しいのに。
目の前に座る高部くんと茅野くんは血色のいいつやっつやの頬を綻ばせビールの大ジョッキを呷っている。
隣の美花さんはおいしそうに焼き鳥の串から砂肝をかじり取って……お皿に分けたりしないんだ。
目の前のレモンハイをぐびーっと飲んで、大きなため息をもらすとみんなの視線が一気にわたしに集まった。
「だってさあ、みーんな希望通りの部署に配属されてさあ……」
つい管を巻いてしまう。
こんなの社会人としてみっともないと思う。わかってるよ。
人のことを羨ましがって妬んで本当に情けない。
でも今はどうにも自分の気持ちに折り合いをつけることができず、いつもは飲まないチューハイなぞ注文してしまっていた。それがいい感じで回ってきている。
指先でグラスの水滴をつつーっとなぞると下まで落ちてきてコースターを濡らす。
それを見ただけでおかしくて笑ってしまうって相当酔っているのかもしれない。