思いは記念日にのせて
わたし、最低だ。
希望していた部署に配属されなかったから酔ってあたり散らすなんて。
こんな自分を誰にも見られたくなかった。
今日から一週間、ゴールデンウィークに入るまで一時間の研修が続くのに、みんなに合わせる顔がないよ。
みっともない、情けない、恥ずかしい。
「バカみたい、バカみたい……バ」
絞り出される小さな悪態。
つぶやかずにはいられなかった。
自分に言い聞かせるためだけに必死で同じ言葉をつぶやいていた。
そうしないと心の中のもやもやが誰かに見透かされそうな感じがして。
思い通りにならないことがこんなにも悔しいことだなんて、今の今まで知らなかった。
ううん、本当は知っていた。
白いシーツに垂れた一滴のインクのシミみたいにじわじわと広がっていく悔しいとも悲しいとも言われ得ぬ感情はあの時味わっていたじゃない。
ちゃんと悠真を救ってあげることすらできなかった。
あの時の苛立ちと同じだ。