思いは記念日にのせて
第十三話
翌日ちゃんと謝ったらみんな何事もなかったように今まで通り接してくれた。
それからわたしは心を入れ替えた。
与えられた仕事をできる限り頑張ってやっていこうと前向きに考え、片山課長から教えられたことをメモに取り、十六時からの研修で何を話そうか昼休みのうちにある程度まとめるようにした。
とにかくわたしの仕事は今日は何の記念日なのか調べ、そのルーツやエピソードをいろんなところから収集しなければならない。
調べてみると同じ日でもいろいろな記念日があることを知った。
去年の社内報を引っ張り出してすみからすみまで目を通す。
同じ記念日にならないように、より記事にしやすい記念日をチョイスすることが大事。
去年から始まったばかりのこのコーナーをよりよいものにしたい。
去年よりもずっとおもしろいと言わせるためには何が必要なのか、わたしの頭の中は記念日を探すことだけでいっぱいになっていた。
四月の最終日。
研修中に五月号の社内報が配布され、メンバーは自分の写真や自己紹介を見ながら大笑いしている。
わたしの仕事は六月のコーナーから、五月号の『今日は何の日?』コーナーをみんなでじっくり見つめていた。
「ここに千晴の記事が載るんだね。楽しみにしてる」
美花さんにそう言われ、わたしは力一杯うなずいた。
高部くんも茅野くんも同じようにうなずいてくれて、なんだか気恥ずかしいような感じもしたけどぐっと気合が入ったんだ。
その日また四人で飲んで、円陣を組んで別れた。
このメンバーで本当によかったと思う。
みんな楽しくて明るくて最高のメンバーだったよ。本当にありがとう。