思いは記念日にのせて
3.五月の記念日は恋風味

第十四話


 そして五月九日、雲ひとつない快晴。
 お気に入りの紺と白のストライプのワンピースに白のカーディガンで清楚系にしてみた。
 髪は右サイドでまとめて軽くシュシュで結ぶだけ。
 あんまりきっちりと決めてしまうと気合い入ってますよってバレてしまったらイヤだし。
 たくさん歩くかもと足元はカジュアルにフラットシューズにしておいた。
 背が低いから釣り合いをとるためにヒールの方がいいかもしれないけど履き慣れているもののほうがいいし。

 駅前でそわそわとしていると、霜田さんが小走りでこっちに向かってくる。
 うわ、ネイビーのジャケットに中は白Tシャツでとってもカジュアル。
 いつものスーツ姿も似合ってるけど、こういう休日のファッションも素敵だなあ。

「いつもと感じ違うね」
「そういう霜田さんこそ」
「いいねこういうの。じゃ行こうか」

 へへっと照れくさそうに笑う霜田さんがかわいくてきゅんときた。
 人生初のデートがこんなに素敵な男性で、わたしは天にも昇る気持ちになってしまう。
 
 映画は霜田さんが観たがっていたファンタジーもの。
 正直得意分野ではない。ひとりでは絶対観ないであろうジャンルだから寝ちゃったらどうしようなんて思ってたけど、そんなことなくてとっても面白かった。
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