思いは記念日にのせて
「送ってもらってありがとうございました」
約束を守って一杯にしたし、少しふわふわするけど問題なく家まで帰って来れた。
もちろん霜田さんに送ってもらったし。
「ひとり暮らし寂しくない?」
「最初は寂しかったですけど、もう慣れましたよ」
いい大人ですもんと付け足すと霜田さんがぷっと吹き出した。
「なんですかその笑い」
「いやいや、なんでもない。今日はありがとう」
ぷくっと頬を膨らませてみると、頭を優しく撫でられた。
自然なボディタッチに胸がきゅんとする。
こんなふうに異性に優しくされるの慣れてないからたぶん顔は真っ赤になっちゃってるはず。
飲んでるからそのせいで赤いと思ってくれればいいけど……頬が燃えるように熱い。
「出水ちゃん、今日は何の日?」
不意に問われた質問に顔を上げると真剣な表情の霜田さんがわたしを見つめていた。
「……え」
「今日は何の日かなって」
どくん、どくんと心臓の鼓動が速まる。
霜田さんは極限まで目を細め、口元に堅い笑みを乗せた。
「えっと、アイスクリームの日と……」
覚えている限りの記念日をあげていく。
この日はそんなに多くはない。
「……告白の、日」
なんとなく最後にしてしまったその記念日を告げた時、霜田さんの笑みが深くなったような気がした。
何かを言おうと思って口を開くけど、言葉にはならなくて。
優しい眼差して見つめられ、胸の奥がざわっとざわめくのを感じた。
「俺とつきあってほしい」