思いは記念日にのせて
第十九話
貴文さんの残業が続いてなかなかゆっくり時間を取ることができなくなっていた。
詳しくは聞いていないけど、新プロジェクトのチーフリーダーに抜擢されたとのことで毎日忙しく飛び回っている。
毎日のおやすみメールが数日おきになることもあったけど、時間があれば『なかなか会えなくてごめん』とお詫びのメールをくれる。
最初のうちはメールがこなくて不安だったけど、今はもう平気。
まめでもさすがに毎日送ってくるのは大変だったんだろうなってわかったし。
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そしてわたしの仕事のほう。
アンケートボックスの方には翌週もその次の週も同じ文面が入れられていた。
一語一句変化なく、筆跡も全く同じ。
否応なしに同一人物の仕業としか思えなかった。
貴文さんに相談した方がいいのかもしれないけど無駄な心配をかけたくない。
それに、もし相談するなら片山課長が先だろう。
誰かにわたし達の関係を話したかどうかだけでも貴文さんに確認を取りたかったけど、忙しい中煩わせるのも申し訳なくて二の足を踏んでいた。