思いは記念日にのせて

第二十話

　
　貴文さんには申し訳なかったけど、幸せな恋人の日を終えた翌週の月曜。
　アンケートボックスの中には想像しないものが入っていた。

　【浮気者】

　パソコンか何かで打ってプリントアウトした筆跡のわからないもの。
　手書きじゃない時点で、明らかに今までとは違う人のような気がする。
　いやな胸騒ぎが止まらない。

　その用紙の中に挟まれていたのは二枚の画像。
　わたしと悠真が肩を組んでうちのマンションに入っていくところと、金曜の恋人の日に貴文さんの家に行ったわたし達の姿だった。

　わずかにピントが合っていないけど、写っているのがわたしだってことはすぐにわかるほどのもの。
　その画像には手書きで撮影された日にちが記されている。

「どうして……」

　誰が何のためにこんな写真を撮っているの？
　貴文さんとわたしを別れさせたいという理由は明確なんだけど、こんな盗撮みたいなことまでするなんて怖すぎる。
　これを送ってきた人が貴文さんの家を知っているのはついて行ったのかもしれないけどうちまで？

　どうすればいいんだろう。
　貴文さんに相談すればキスの日にわたしが悠真と飲みに行ったことがバレてしまうし、しかもこの画像妙に親しげなんだ。
　ただお互い支え合っているだけなんだけど……なんでこんなことしちゃったかな。

　こうなったら自分でなんとかするしかないのかも。
　いつもの手書きの脅迫文も入っていたけど、今回はそっちの存在なんてどうでもよくなるくらい画像の方に気を取られてしまっていたんだ。