思いは記念日にのせて
「注意書きを貼ることにする。来週からは一緒に開封することにしよう。いいな」
「……はい。すみません」
「怖かっただろう。気づいてやれなくて悪かった」
急に声色が優しいものに変わった片山課長を見ると、悲しげな表情で見つめられていた。
それを見て急にほっとしてしまい、気が緩んだわたしは涙腺までも緩んでしまったようでぽろぽろと泣き出してしまっていた。
「むしろいきなり新人の出水さんひとりにやらせたボクにも責任はある。すまなかった」
「いえ……そっ、そんな……」
「実は君のことは霜田から頼まれているんだよ」
「えっ?」
「ボクと霜田は同じ大学出身のサークル仲間なんだ。あいつ何も言ってなかった?」
楽しげに笑い声をあげる片山課長に助けられ湿っぽい雰囲気が一掃された。
そのことに感謝しかない。
それに貴文さんと片山課長が知り合いだったなんて初耳だ。
じゃあ、もしかして。
いやな予感が頭をかすめ、わたしは立ち上がっていた。
この悠真と親しげな写真のことが貴文さんにバレたら……。
「なに?」
「課長、お願いです。この写真のことはどうかたかっ……霜田さんには黙っていてください」
「……やましいことでもあんの?」
「ちっ、違います! これはただの幼馴染って言うか……小学校時代の同級生で」
必死で言い訳する自分を疑いの目で片山課長が見つめているのがわかる。
たったひとりの視線なのに針のむしろにされたみたいな心境になるのは片山課長の眼力のせいだろう。
すごい鋭い眼差しだった。