思いは記念日にのせて
「はっきりは見えないけど、この彼イケメンだよね。霜田よりも身長ありそうだし……」
ちらっと下から見上げられて息を呑む。
片山課長の言うとおり悠真は貴文さんより身長高いし、かっこいいとは思う、思うよ。
でもわたしが好きなのは貴文さんであって、挨拶程度の(かどうかは正直わかんないけど)キスはしてしまったけど恋愛感情はなくて。
ああ、わたしはいったいなんの言い訳しようとしているんだろうか。
しかもそんなこと言えっこない!
ふうっと大きなため息をついた片山課長の口角がゆっくりとあがっていく。
「冗談だよ、わかった。口は堅いから安心して」
「課長っ……!」
「その代わり今日の昼飯、長寿庵の天ぷらそば奢ってね。あ、もちろん特上」
ばちんとウィンクする片山課長が悪魔に見えましたよ、ええ。
こっちは新入社員なのにぃ……(血の涙)
その昼休み。
会社近くの長寿庵に食べに行ったはいいけど満席で入れなかったというオチで、近所のハンバーガーショップで手を打ってもらった。ラッキー。