思いは記念日にのせて
第二十一話
アンケートボックスに注意喚起をした翌週の月曜日もその次も例の画像も脅迫めいたものも入っていなかった。
注意喚起に『広報部第二課長:片山』と名前を入れてくれたのが効いたのかもしれない。
なにはともあれ助かった。
それにしても手書きのものとプリントアウトの脅迫文の二種類があるのが不思議だよねと話していた。
やっぱり片山課長も別の人がやっていると思っているって。
貴文さんとは最近なかなか会えていない。
新プロジェクトの方が本格的に始動して、かなり忙しくなったらしい。
海外の有名な本をうちの社で独占販売する権利を取得するというものと簡単には聞いた。
うちと同じように出版社から本を買い入れて書店に送る大手の流通業者は数社あって、そこを出し抜いての独占販売になる。
企画案を大量に出し、いかに弊社で販売することにメリットがあるか全面的に押し出していかないといけないという。
それのチーフリーダーってすごい大抜擢だと思うんだ。
わたしにできることは貴文さんの邪魔をしないようにするだけ。
最近ではメールも来ないけど、頼りのないのは元気な証拠だと思っている。
こっちからメールをしてしまったら返信の気を遣わせてしまいそうで、送ることもできずにいた。