強引上司の恋の手ほどき
第四章 恋に融け合うふたり
《第四章 恋に融け合うふたり》
翌日の午前中の観光を終え、私たちは新幹線へ乗り込んだ。
指定された席は、行きと同じで美月さんの隣の席だった。私が席につくと、直ぐに男性社員の集団が乗り込んできた。
あっ……中村くん。
今朝の朝食から観光の時にいたるまで、彼を自分の視界にいれないように、また彼の視界に入らないように努力した。やはり昨日の今日では、どう気持ちを落ち着けようとしても、気まずくて仕方ない。
しかし、指定されている彼の席はちょうど私の後ろだった。
座席の背もたれで、顔を見ることはない。けれど中村くんが立ち上がったり誰かと喋ったりすると、そのたびにビクビクとしてしまう。
このまま二時間耐えられるだろうか……。
「千波、大丈夫なの?」
事情を知ってる美月さんが隣から心配して声をかけてくれたが、私は苦笑い歯科返すことが出来なかった。
そんな気まずいなかで、新幹線は出発した。
いつもは、ふたりでいれば話題にかかない美月さんと私だったが、今日に限ってはお互いなにも話さずにいた。