強引上司の恋の手ほどき
「きっと、お前が予想してるよりもずっと前だと思う。それにお前が俺のこと好きだってことも、お前よりも前に分かってた」

「私よりも前って、そんなのどうやって知るんですか!?」

「わかるんだよ。お前のことならなんでも」

ずっと見てたんだから……とは、あえて言わないけどな。

「課長すごいですね。嬉しいです」

柔らかい気の抜けた笑顔で俺を見る千波をギュッと抱きしめた。

そして“あのこと”をいつ話すべきなのか悩む。これから先一緒に歩いて行く彼女にはきちんと説明しなくてはいけない。

でも……まだ時期尚早だ。そして、アイツのこともきっちり片をつけなくちゃならない。

それまでは、千波に負担をかけないようにしなくては。

「課長……どうかしましたか？」

どうやらじっとひとりで考えこんでしまったみたいだ。
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