強引上司の恋の手ほどき
「まぁ、だいたいお前の悩みは分かった。でもそれってちゃんと話し合えば済むことだと思うんだけど」

確かに言うとおりだ。

「それが出来たら相談してません! だからなんでも話せるような関係になるためにもっと彼に近づきたいんです」

「近づきたいって、セックスしてたらそんな心配ないんじゃねーの?」

少し呆れたように言われて、肩を落とした。そんな私をみて課長はなにか感づいたようで目を丸くして尋ねてきた。

「もしかして……まだやってねーの? 二ヶ月以上も付き合ってんのに?」

恥ずかしくて頷くことしか出来ない。

「あの、一回試したんだけど……ダメだったんです」

「ブッ……!」

課長が口からビールを吹き出した。

相談すると決めたのだから、最大の悩みも一緒に聞いてほしい。

普段ならば出来ないような話も今日の私はアルコールの力を借りて話す。

「なんなの? 中村、下手なの?」

「ち、違う……と思う」

「思う?」

訝しげな態度の課長に、私は思い切って話した。

「私、はじめての彼氏で本当になにもわからないんです。もちろんエッチもあの……その」

「初めてってことか」

「はい」

いくら話しやすとはいえ、上司に自分の恋愛について話をするのはやはり恥しい。どういう反応されるのか気になる。
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