強引上司の恋の手ほどき
「実は俺、今日これから外回りなんだ。だから弁当は千波が食べてよ」
食べてよって、私のぶんは別にあるのに。
「そ、そうなんだ」
がっくりと肩を落としてしまう。
「作るんなら、前もって言ってもらわないと俺も困るよ。本当にごめんね」
「いえ。私もちゃんと連絡してなかったから」
朝電車を待つホームでメールを入れただけだ。ただその返事はなかった。もし返事があればこんなところで待つなんてことしなかったのに。
「今度ランチおごるから。じゃあね」
「うん」
中村くんは廊下を歩きだすと私のほうを振り返ることなくエレベーターに乗り込んだ。
私はただひとり、彼に渡すはずのお弁当箱を握りしめてその場に立ち尽くしていた。
「菅原? こんなところでどうしたんだ?」
名前を呼ばれてハッとして振り向くと、そこには課長が立っていた。
「課長……」
「なんだよ、そのひどい顔」
なんとか笑顔を作ろうとしたけれど、どうやら失敗したみたいだ。
食べてよって、私のぶんは別にあるのに。
「そ、そうなんだ」
がっくりと肩を落としてしまう。
「作るんなら、前もって言ってもらわないと俺も困るよ。本当にごめんね」
「いえ。私もちゃんと連絡してなかったから」
朝電車を待つホームでメールを入れただけだ。ただその返事はなかった。もし返事があればこんなところで待つなんてことしなかったのに。
「今度ランチおごるから。じゃあね」
「うん」
中村くんは廊下を歩きだすと私のほうを振り返ることなくエレベーターに乗り込んだ。
私はただひとり、彼に渡すはずのお弁当箱を握りしめてその場に立ち尽くしていた。
「菅原? こんなところでどうしたんだ?」
名前を呼ばれてハッとして振り向くと、そこには課長が立っていた。
「課長……」
「なんだよ、そのひどい顔」
なんとか笑顔を作ろうとしたけれど、どうやら失敗したみたいだ。