友達になるということ

「えっ……!?」


そんなことを言われるとは思っていなくて、あたしはつい顔を熱くする。


それってまるで、あたしには笑顔の方が似合ってるって言ってくれてるみたい。


「い、いきなり何でそんな……」


正直、笑顔を褒められたような気がして悪い気はしない。


だけど、相手はあの、第一印象最悪の椿くんだ。


だから、どうしていきなりそんなことを言ってきたのかわからなくて、ただなんとなくなのか、また何か企んでいるのかとか、無駄に疑ってしまった。


すると、椿くんはあたしの質問に対して、こう答えたのだ。



「初めて会った時も、春風さんは笑顔だったから」



あたしは、思わず首を傾げる。


だって、初めて会った時っていうのはたぶんあの屋上の時のことで。あたしは笑ってなどいなかったような気がするから。


椿くんの言っていることはよくわからない。


だけど、椿くんがあまりにも優しく笑うから、あたしは思わずドキドキしてしまった。