友達になるということ




「椿くん。呼び戻してくれてありがとう。先生どこにいる?」


わざわざ椿くんが呼びに来るぐらいだから、もしかしたら急を要するものなのかもしれない。
あたしは、すぐに先生のところに向かおうと、椿くんに居場所を問いかけた。


……だけど。


「あー、あれ嘘」


「……は?」


「春風さんの邪魔をする為の口実だよ」


しばらく思考回路が停止したあと。


プチン、と何かが切れるような音が頭の中でして。
あたしの怒りバロメーターがグインッと急上昇。


さっきまで、スミレに芹香の話を散々聞かされて募っていたイライラも相まって。



――パシンッ!



気づけばあたしの右の手のひらが、椿くんの左頬をとらえていた。


「!」


不意をつかれた椿くんは、いつもの無表情を崩して、目を丸くする。



「どうして!? 何で邪魔するのよ!!」



あたしは怒り任せにそう叫び、頬を叩くだけでは飽き足らず、椿くんのシャツの襟に掴みかかった。



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